実践法・メソッド
自律訓練法とは?体からリラックスを引き出す練習
2026-05-17
自律訓練法(じりつくんれんほう)とは、決まったフレーズを心のなかで静かに繰り返しながら、体の感覚に意識を向けることで、深いリラックス状態を引き出す練習です。
1930年代にドイツの精神科医ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツが催眠の研究をもとに体系化したもので、現在もヨーロッパを中心に広く実践されています。日本でも心療内科やカウンセリングの場で取り上げられることがあり、「漸進性筋弛緩法」と並ぶリラクゼーション技法のひとつとして知られています。
漸進性筋弛緩法との違い
どちらも深いリラックスを目的とした実践ですが、アプローチが少し異なります。
**漸進性筋弛緩法**は、体の各部位の筋肉に意図的に力を入れ、その後ゆっくり緩める——という「筋肉の緊張と弛緩のコントラスト」を使います。体を動かすことでリラックスを引き出すため、はっきりとした感覚の変化を感じやすい実践です。
自律訓練法は、特定の言葉(公式)を心のなかで繰り返しながら体の感覚に意識を向けます。体を動かさず、ほぼ静止した状態で行います。「手足が重い」「手足が温かい」といった感覚を自分の言葉で誘導することで、自律神経のバランスを整えていくイメージです。
自律訓練法の基本6公式
自律訓練法には「公式」と呼ばれる6つのステップがあります。
第1公式(重感公式) 「両腕がとても重い」と心のなかで繰り返しながら、腕の重さを感じます。
第2公式(温感公式) 「両腕がとても温かい」と繰り返しながら、腕の温かさを感じます。
第3公式(心臓調整公式) 「心臓が静かに規則正しく打っている」と感じます。
第4公式(呼吸調整公式) 「楽に呼吸している」と感じながら、呼吸を観察します。
第5公式(腹部温感公式) 「みぞおちが温かい」と感じます。
第6公式(額部涼感公式) 「額がさわやかに涼しい」と感じます。
始めたばかりの段階では、第1・第2公式(重感・温感)だけでも十分にリラックスを感じる人が多く、最初から全部やろうとしなくて構いません。
実際にやってみる:簡単な入り口
初めて試す場合は、以下のような手順から始めてみてください。
- 静かな場所で横になるか、椅子にゆったりと座ります
- 目を閉じて、数回ゆっくり深呼吸します
- 心のなかで「気持ちが落ち着いている」と1〜2回繰り返します
- 続けて「右腕がとても重い」と3〜5回、ゆっくり繰り返します(左利きの方は左腕でも可)
- 腕の重さをただ感じようとします。感じなくても「感じようとする」だけでOKです
- 次に「右腕がとても温かい」と繰り返しながら、温かさを感じようとします
- 3〜5分たったら、指を動かし、大きく伸びをして、目を開けます(これを「消去動作」といいます)
消去動作は忘れないようにしましょう。しっかり意識を日常に戻してから終えることが大切です。
こんなシーンで取り入れている人が多い
- 寝る前に、頭のスイッチをオフにしたい
- 緊張したプレゼンや大事な予定の前に、気持ちを整えたい
- お酒なしで夜をゆったりと過ごしたい
- 深呼吸だけではなかなかリラックスしきれないと感じる
注意点
自律訓練法は一般的には安全な実践ですが、次のような場合は専門家に相談してから行うことをすすめます。
- 精神科・心療内科での治療中の方(主治医に確認を)
- 心臓や血圧に関わる疾患がある方
- 解離症状(自分が自分でない感覚など)が起きやすい方
- 実践中に強い不快感や不安を感じた場合はすぐに中断してください
関連用語
※本記事は情報提供を目的としたものであり、医療上のアドバイスではありません。